大動脈瘤
X線検査やエコー検査で大動脈瘤の疑いがある、あるいは他の病気の精査のため偶々行ったCT検査で偶然、大動脈瘤を指摘されることがあります。
そもそも大動脈は心臓から全身へ血液を送るためのチューブ(管)です。正常な大動脈は丈夫で柔軟性があります。しかし、高血圧や喫煙、体質などにより大動脈は太く(拡張)、長く(延長)、時に狭く(狭窄)なります。大動脈は正常の1.5倍以上で大動脈瘤と呼ばれ、破裂や血管壁が裂ける(解離)リスクが上がります。血管の径が2倍になると血管壁にかかる力は2倍になります。また、正常径の血管壁でも血圧300mmHgでは破裂しますので、血管の径が2倍に拡大した大動脈瘤の方が、仮に血圧のコントロールが悪く150mmHgであると大動脈瘤にかかる血圧は倍の300mmHgとなり破裂することになります。大動脈瘤に対し、血圧のコントロールと禁煙は必要なことですが、概ね正常径の2.5倍を超える大動脈瘤の方(詳しくは、胸部と腹部、男女、大きくなる速度、血管特有の疾患などで適応サイズが異なります)は、破裂のリスクが高いと考え、破裂の予防目的に人工血管による治療(外科的治療)の適応と言われています。
人工血管による治療には、①開胸あるいは開腹による人工血管置換術、②ステントグラフト内挿術があります。
大動脈の一部(腹部大動脈や心臓から出た直後の胸部大動脈(上行大動脈)など)はエコー検査などで観察が可能ですが、大動脈瘤は主にCT検査で評価されます。禁煙、血圧コントロールを行いながら、定期的にCT検査が必要となります。CT検査や外科的治療は連携病院などへご紹介いたします。