高血圧症
なぜ高血圧症を治療するのでしょうか;高血圧症は、それ自体は無症状のことが多いですが、脳心血管病の最大の危険因子です。脳心血管病はその死亡率が癌とほぼ同程度で、主な死亡原因の1つです。高血圧症を気にせず放置することは、知らず知らずの内に自らを死亡率の高い脳心血管病に至らしめることですので高血圧の十分な治療が求められます。
尚、高血圧の診断、治療では単に血圧の数値のみだけではなく、いくつかの注意点があります。血圧の記録は、通常、安静時に行い、診察室だけではなく、自宅血圧(朝、夕あるいは就寝前)の評価が大切とされています。これは、白衣高血圧、早朝高血圧を見極め、適切な指導、治療のために有用です。また、血圧のコントロールに難渋する(治療抵抗性)、あるいは低K血症や他の症状を伴う場合などでは、二次性高血圧症(原発性アルドステロン症、腎血管性高血圧、睡眠時無呼吸症候群など)を考慮、鑑別する必要があります。
治療;
高血圧治療の目標は、原則130/80mmHg以下へ;日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2019」によると目標血圧(診察室血圧)は原則130/80mmHg以下とされています(75歳以上140/90mmHg未満、脳血管障害140/90mmHg未満、慢性腎不全(蛋白尿 陰性)140/90mmHg未満を除く)。
治療法は、先ずは栄養・食生活の改善(減塩、野菜・果物(カリウム)の摂取を増やす)、身体活動・運動の促進(歩数の増加、運動習慣)、賢い飲酒(飲み過ぎない)、肥満の改善(減量)が基本で、これに加え、降圧薬の服用を考慮し、血圧を再評価しながら調整します。
治療抵抗性などの高血圧である場合、二次性高血圧症を疑い、専用の採血検査の追加や携帯用睡眠時無呼吸検査などを行うことで、その原因治療に繋がり、さらに血圧コントロールが改善することが期待されます。